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中国臓器狩り新報告 共著者デービッド・マタス氏 独占インタビュー(2)

 

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米ワシントンのナショナル・プレス・クラブで6月、中国の臓器強制的出問題についての最新報告書発表記者会見で発言するデービッド・マタス氏(李莎/大紀元)

 
この記事は、中国臓器狩り新報告 共著者デービッド・マタス氏 独占インタビュー(1)のつづきです。
 
大紀元:報告書を簡潔にまとめると?
 
マタス:説明のない臓器提供源からの移植が大量に行われているという内容です。臓器提供源は良心の囚人、主に法輪功修煉者であると、あらゆる証拠が示しています。
 
大紀元:中国臓器収奪の調査から10年が経ちました。
 
マタス:今回の報告書は、この分野で私が調査した四つ目にあたります。イーサン・ガットマン氏がかなり関わりました。人々の関心と認識が高まっています。
 
 最近、ガットマン氏が書いた『The Slaughter』(仮題:大屠殺)の読者から質問メールは毎日とどきます。
 
 長年にわたり一つのことを調査してわかることは、多くの人は一度、認識すれば、忘れることもなく、いなくなることもないということです。問題の認識、(中国政府への)プレッシャーは、どんどん高まっていきます。
 
 欧州議会で決議案が通過し、米議会でも通過しました。
 
 
 専門家を混乱させる、それらしく発言する
 
マタス:中国政府は逆行しています。言葉を和らげ、語彙を変え、それらしく語りますが、何も正しい行動は起こしていません。政府の発表に混乱する人さえいます。国外の発問者が聞きたいことを中国政府が発言するので、説得されたくない人々を説得することはかなり難しいです。
 
大紀元:この問題に対して定かでないと思っている人もいます。事実であれば21世紀における最大規模の人権犯罪です。しかし、なぜ人権擁護機関や移植協会は何もしないのでしょうか。
 
マタス:移植専門医と人権擁護機関の答えは異なると思います。
 
 移植医療に携わる人々は、人権問題に慣れていません。取り扱える許容範囲を超えてしまっているのです。
 
移植協会のメンバーの中には、これで問題は終わったとする者もいます。しかしそうではありません。先月ローマでデルモニコ氏(注:フランシスL.デルモニコ医師、移植協会前代表)とパネルディスカッションをしましたが、彼は中国に行き、医師に合い、病院に行きましたが「中国側は正しいことを語っており、問題は見られなかった」というのです。
 
 このパネルディスカッションで、「中国の移植制度は何をしたらいいと思われますか」と質問を受けたので「専制の怒涛がうねる中国では、人権と法律は全く期待できません」と答えました。
 
 中国で適切な移植制度を設ける唯一の方法は、法に準じる国家、独立した法制度、自由に報道できるメディア、人権への尊重を揃えること。
 
 人権問題を多く扱ってきた経験から、人権侵害者からの反応は2つに分かれます。一つ目は「あっちにいけ。お前の干渉することではない。国内問題だ。異国の価値観を押し付けないでくれ」といって、はねつけることです。この問題を最初に調査したときの中国側の反応でした。
 
 二つ目は、人権侵害者の反応として典型的なものですが「おっしゃる通りです。時間を下さい。私たちは変わろうとしています。まだ国が十分に発展していません。どうすればよいか教えてください。助けてください」というもので、現在の中国側からの反応は、ほぼこのようなものです。結果は同じです。人権侵害は続きます。表現を変えただけです。
 
 しかし移植専門医はこのような表現にすぐ惑わされてしまいます。諸外国を通じて多くの人権侵害を扱うことに慣れていないからです。惑わされたまま、一度見るだけなのです。「一度だけ僕をだましたなら君の恥、二度も僕をだましたのなら僕の恥」という格言があります。移植専門医は一度だけ騙された時点で止まっています。
 

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中国国家ぐるみの臓器収奪を取り上げた映画「ヒューマン・ハーベスト」は放送界の最高賞であるピーボディ賞受賞した。第74回ピーボディ賞授賞式典でトロフィーを掲げる、デイビッド・キルガー氏とデイビッド・マタス氏。2015年5月31日に米ニューヨークで撮影。(Benjamin Chasteen/Epoch Times)

 
 
人権擁護団体の対応
 
 確立している人権擁護団体の反応は異なると思います。常に問題となっています。ウィニペッグのアムネスティ・インターナショナルの会合に先週、参席しました。国際的に活動しているスピーカーが「(問題が)一般的に公にされること、(活動)資金を得ることが、問題の停止に効果的だ」といっていました。これらの主要機関で何度も耳にする言葉です。
 
 アムネスティとは特に中国と法輪功について話をしました。死刑を懸念するアムネスティの活動で、中国の死刑囚の数は減りました。 しかし、法輪功や臓器移植の問題に効果はありません。アムネスティは、中国との会話で、法輪功のことに触れると拒絶されてしまうため、交渉のつてとなる死刑問題を扱うことにしました。対話の途絶える法輪功の問題を扱うことを避けています。
 
 私はアムネスティとは違います。人権の論議は犠牲者を対象にすべきであり、犯罪者ではないというのが私のスタンスです。犠牲者を優先すべきです。
 
 アムネスティは人権機関としての責務があります。中国政府に絶え間なく頭をぶつけても結果は得られません。そこで、なんらかの動きがみられる領域に移行したのです。
 
大紀元:ヒューマンライツ・ウォッチも同じでしょうか?
 
マタス:ヒューマンライツ・ウォッチの場合は興味深い現象がみられます。中国がすべての臓器は提供されたものだと発表した時、大々的に報告しました。
 
 アムネスティとヒューマンライツ・ウォッチは異なります。アムネスティは会員制ですが、ヒューマンライツ・ウォッチは会員制でなく、調査と報告に傾倒しています。中国が臓器は提供されたものだと発表したら、実は死刑囚が提供源だという大々的な報告書を出しました。これは1980年代末のことだったと思います。
 
 その後、私たちの報告書が出たわけですが、方法論的には、この報告書の方が確証性は高いと個人的には思っています。なぜなら確証のとれていない二次的な情報源を私たちは用いませんが、彼らは用いていたからです。
 
 ヒューマン・ライツ・ウォッチは、死刑囚が提供源ということを発表したことで、中国での臓器狩り問題は済ませたと感じたのでしょう。また、アムネスティー同様、この分野での更なる調査は、中国との他の分野で効果をあげることを妨げることを危惧したのかもしれません。
 
 
 臓器狩りの現状
 
大紀元:中国の法輪功修煉者からの臓器狩りの状況についてどのように把握されていますか?まだ行われているのですか?
 
マタス:大量の移植は続いています。提供源が不明瞭なことも変わっていません。明確な臓器提供源は「良心の囚人」です。
 
 死刑囚の数はわかりませんが、地裁から高騰裁判所への動向をみると、減っていると言えます。犯罪の数も減りました、
 
 現在、問題の一つとして、 より頑なになった「隠蔽」についてです。臓器提供源について世界から批判があったことに応じて、中国政府は病院の登録制度の設けました。移植をするなら登録しなければならないというわけです。
 
 臓器移植は中国で莫大な金額を稼いでいます。おそらく保健制度の主要な収入源になっています。社会主義から資本主義に移行した際、政府は保健制度の予算を削りました。多くの病院はこの収入がないとやっていけません。病院は移植産業にどっぷり使ってしまいました。政府は、外圧への対応として、全ての移植制度になんらかの登録を設定すると言っています。しかし、病院は移植事業やめないでしょう。これらの病院は、移植手術をしていることを世界だけでなく、中国政府からも隠蔽しようとするでしょう。
 
 私の知る限りでは、この現象は今も続いています。より問題が隠されていく中で、実際の数値を得ることはかなり難しくなってきています。年間の移植数を自慢する病院からの数値を取得し、数件を合わせただけで政府発表の数字を上回りました。しかし、私たちには正確な統計をとることはできません。
 
大紀元:ご自身が推定している臓器狩りの件数は?
 
マタス:数字は算出しません。推定もしません。
 
 年間1万件という中国政府の発表した数字よりもはるかに多いということだけは確信をもって言えます。 これまで私たちが推定してきた臓器のために殺された良心の囚人と法輪修煉者の数は、低すぎました。
 
 実際の数字は算出できません。可変要素が多すぎるからです。
 
 病床を例にとりましょう。多くの病院の病床数は把握可能です。移植専門の病棟がある病院もあります。これらの病棟のなかに集中治療室があります。移植専門病床の集中治療室の収容人数が分かれば、ここに留まる期間はだいたい定まっているので、年間に何人くらいが入退室するかが算出できます。
 
 他の病床に関しては、移植専門の病床でも、かなりの違いがあります。手術前に何日入院するか、手術後、何日留まるかなどが異なるため、病床数だけからでは、常に満室だとしても、移植数は算出できません。このような問題に直面するのです。
 

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2014年7月20日、台湾の法輪功学習者は、臓器狩りのデモンストレーションを行い、問題を周知させようとしている。(Mandy Cheng/AFP/Getty Images)

 
 
臓器狩りは法輪功撲滅の手段
 
 大紀元: 臓器狩りは、中央政府による法輪功の撲滅政策の一環として、中国共産党が法輪功修煉者の身体を物品化することで、修煉者を排除する手段だという可能性を、報告書は示しています。もちろん、このことを証明はしていませんし、論じてもいません。たとえば、あなたは病院関係者が地元の収容施設や強制労働所に行き、誰でも対象に臓器を摘出できたという説に納得できますか?(いえ、政府など組織的な関与があったはずです)。

 マタス:一般に、一つだけの動機のために政府が何かをすることは滅多にありません。政府には、異なる動機の異なる人々が多く関わっているからです。動機は「お金」かもしれないし「政治」かもしれません。ただ命令に従っている人もいるし、法輪功中傷のプロパガンダを信じる人もいます。中国の牢獄から出所した法輪功修煉者に多くインタビューしたので、このことは語れます。お金だけではありません。法輪功修煉者は非人間化され酷い扱いを受けています。政治だけではありません。多くの人々にとって、仕事であり収入であり、生活の糧なのです。自分たちが得をしているから目をつぶっているわけです。
 
 多くは進んで目をつむっています。個人的、政治的に利得があるからです。国際的な移植専門医の連絡先となる黄潔夫(元中国衛生部長)など多くの高官は、法輪功についてほとんど語りません。「臓器がどこから来るのかは分かりません。私たちは移植をするのであり、摘出はしませんから」というだけです。
 
 これらの説明から一つ選ぶ必要はないと思います。様々な動機が合流してこの結果がもたらされているのですから。
 
 
 判断を迫られる移植医
 
大紀元:この報告書が発表されたあと、どのような変化を期待されますか?
 
マタス: 中国で今起こっている情報として、データベースに加えられます。中国側が責任ある説明をすることに拍車がかかることを願っています。
 
 移植専門医は揺れています。2年に一度、大会がありますが、中国からの論文を拒否していません。このこと自体が問題です。これらの論文も同様に、臓器提供源を明確にしておらず、疑わしいものなのです。世界の移植専門医のなかには、中国側のプロパガンダにたやすく騙される者もいることでしょう。
 
 仲間からのプレッシャーは重要です。中国国内で少なくともなんらかの動きを起こす上で効果がありました。同時に、世界の移植専門医がこの問題で気骨をみせてくれることを望みます。もちろん欧州議会、米国議会で起こったことは喜ばしいことです。世界の異なる議会でも同様の決議案がとられることを希望します。
 
 移植専門医に関しては、国際的な移植協会だけではなく、各国内の移植協会が臓器摘出問題に強い立場を示せば、移植医療界にインパクトを与えると思います。他にも、移民入国の是否、中国からの論文発行の是否、中国での移植専門医トレーニングに関わる是否など、移植協会がなすべきことはあります。中国国外から影響を与えることのできる様々な方法を考え出し、全てを試みる必要があります。今回の報告書がこのような努力を増やしていくことにつながればと希望します。

大紀元:もし報告書を読んでこの問題を査定する時間が30分しかない場合、どの部分に焦点をあてて読めばいいかご示唆いただけませんか。どの章か、どの問題点でしょうか。
 
マタス:ある意味で意図的に、長い報告書にしました。短い報告書にすることも可能でしたが、中国側による隠蔽と否定を扱っているので、「彼がこう言った」「彼女かこう言った」だけでは口論に映るだけで、どちらの側に立つべきか決めかねます。
 
 この報告書から、「私たちには圧倒的な証拠がある」という印象を受けてもらえればと願っています。疑問があれば、精読しても通読しても斜め読みしても構わないと思います。ただ、この報告書を読みたくない方は、証拠がないという論拠に基づいて論議する資格はありません。
 
大紀元:とほうもなく気の遠くなるような犯罪を文書化されています。記録していることの深刻さと一般の反応が一致しないことを懸念されますか。
 
マタス:もちろんです。大量の人権侵害に関して、多くの人々は特に注意を払いません。隣人が芝を刈るかどうかのほうが、国外で数百万人が殺害されていることより大事だと思っているかのようです。ある意味で、これは人間の資質です。
 
 今回の報告書には、この帰結に導く証拠が必要以上に多く記載されています。
 

(おわり)

(翻訳編集・阿部慶子)

 
デービッド・マタス 弁護士。カナダのウィニペグ市生まれ。米オックスフォード大学で法学士号を取得。国連総会カナダ代表団のメンバー、国際人権と民主発展センター長、カナダ憲法・国際法律条例主席などを歴任した。
 
2009年、人権活動によりカナダ総督より民間に授与される最高栄誉であるカナダ勲章を受賞。2015年、中国臓器摘出の独自調査が評価され、共同調査するデービッド・キルガー元カナダ政府アジア太平洋地域大臣とともに、2016年ノーベル平和賞候補に推薦されている。
 
( 転載:http://www.epochtimes.jp/2016/07/25851-3.html )
 
 
 
 






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